シスターだろうか? もう見回りを始めたか。
消灯時間以降、室外にいる処を見られてしまうのはまずい。
第一、そうでなくとも私はシスターとふたりで出会うこと自体避けなければならない。
息を殺して暗闇に潜む。心臓の脈動が激しさを増す。
抑えようとすればするほど、呼吸も乱れる。
やり過ごせるだろうか……。
……。
…………。
「ふぅ……」
思わず息を洩らす。足音は遠ざかっていった。
こんな処で捕まる訳にはいかない。きっとこの学院内の何処かにいるはずなんだもの。
私は難を逃れ、心を落ち着け、再び暗闇の中を進もうと足を出す。
「えっ…」
何だろう? 前に出ようと足を踏み出しても身体がこれ以上動かない。
腕だ。腕が私の足を引っ張っている。『何か』重いものを掴んでいるせいで、身体が前に出ないんだ。
だがしかし、私は何も掴んでいない。
握っていた手を開いてみても、状況は変化しない。
違う、私が『何か』を掴んでいたんじゃない。
私が『何か』に掴まれていたんだ。
頭が理解した瞬間から、手首に走る圧迫の痛み。強い
力で握られている。
……いる、『何か』が私の直ぐ後ろに。
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